田村堂とは
田村堂(たむらどう)とは、松本市に構えていた若澤寺の最上段にあったお堂で、坂上田村麻呂が祀られています。内部にある厨子は室町時代末期の建築と推定され、当初は総金箔塗の華麗な厨子であったとされて国の重要文化財に指定されています。明治元年(1868年)の廃仏毀釈令により若澤寺が取り壊された際に、地元住民により現在地に移されました。
また、阿弥陀堂の前にある仁王門の木造金剛力士像が県宝に指定されるなど、周辺にも多くの貴重な文化財が残されています。
若澤時(にゃくたくじ)は天平勝宝年間に創建された寺院で、大同年中に坂上田村麻呂(田村将軍)によって再興されたと伝えられる真言宗の古稀です。現在地から2kmほど山へ入った水澤山の地に構えており、江戸時代末期には末寺四寺、寺域周囲三里半、金堂・中堂救世殿など七堂伽藍が建ち並び、その荘厳さは信濃日光と称されました。
田村堂
仁王門
真夏の太陽が暑すぎる昼過ぎ、田村堂を訪問です。
まず最初に目に入るのは、朱塗りが印象的な仁王門です。元々は西光寺という寺院の山門であったと伝えられています。
木造金剛力士像(県宝)が安置される仁王門
内部に納められる木像金剛力士像は、ヒノキ材を用いた寄木造の立像で県宝に指定されています。大きさは阿形が265cm、吽形が260cmで、当初は彩色が施されていましたが現在は剥がれ落ちています。立派な像に圧倒されますよね。
昔から幼児に仁王像の股をくぐらせると「はしかが軽く済み、丈夫に育つ」と伝えられており、毎年4月には地元の方々を中心に「股くぐり祭」が行われているようです。
仁王門の前には、天正3年(1575年)に造られた若澤道供養碑があります。若澤寺の歴史を知るうえで貴重な石造物であり、松本市の有形文化財に指定されています。
上波田阿弥陀堂
参道沿いには松本市の有形文化財に指定される丁石があります。
参道が山中で長いことから、仁王門前を初丁(一丁目)として、若澤寺(十八丁目)までの約2kmの間に十七基の丁石が建てられていたようです。現存する丁石は九基とのこと。
こちらは若返り地蔵尊です。健康長寿、家内円満、交通安全の願いが叶うとのことです。若返りますように・・・
すぐ近くには水澤不動尊もありますよ。
参道の先には上波田阿弥陀堂があり、その内部には松本市の有形文化財に指定される木像阿弥陀如来坐像や西光寺絵図が納められているようです。
田村堂
参道沿い(上波田阿弥陀堂の手前)には田村堂があり、内部には坂上田村麻呂が祀られています。室町時代末期の貴重な建築物であること、また信濃日光と称された若澤寺の遺構として貴重なものであることから国の重要文化財に指定されています。
実際の田村堂は写真の覆屋の中に安置されています。
若澤寺の遺構である田村堂(国重要文化財)
波田神社
鳥居~拝殿
田村堂の隣には波田神社が鎮座しています。拝殿で平穏な日々と健康を祈ります。
コナラの巨木
境内には樹齢800年を超えるコナラ(小楢)の巨木がありますよ。松本市の特別天然記念物に指定されており、力強く伸びる枝がとても美しいですね。
猛暑日の中ではありましたが、境内には誰もいませんでしたので、多くの文化財をゆっくりと堪能することができました。
樹齢800年を超えるコナラの巨木
周辺観光スポット
様々な文化財や見所があり樹齢600年の梓川のモミ(巨木)が立つ大宮熱田神社↓
※車で約15分
姫路城/彦根城/犬山城/松江城とともに国宝に指定され、黒漆塗りが美しい松本城↓
※車で約40分
特別名勝と特別天然記念物の称号が与えられる日本を代表する絶景スポット上高地↓
駐車場
田村堂の仁王門前に駐車スペースがあり、4~5台は停められます。休日の13時頃でしたが、駐車している車は1台だけでしたので問題ありませんでした。
補足情報・アクセス
住所 長野県松本市波田
アクセス 車 松本I.C.より25分
塩尻北I.C.より35分
徒歩 渕東駅より10分
駐車場 あり
料金 なし