仲仙寺とは
仲仙寺(ちゅうせんじ)は、伊那市にある天台宗の寺院で、弘仁7年(816年)に比叡山延暦寺の高僧である慈覚大師により開山されました。慈覚大師は夢の中のお告げで信濃に入り、大神護山の山奥で見つけた霊木に十一面観音像を刻みました。その木片に写経をして納めたことから、この山は経ヶ岳と呼ばれるようになり、十一面観音像を本尊として開山したのが仲仙寺の始まりと伝えられています。
開山当初は藤宝寺という名前でしたが、武田信玄の兵火に焼かれて衰退、慶長18年(1613年)に領主・小笠原秀政の発願で現在地に移り、羽広山仲仙寺と名を改めました。それ以後、羽広観音として親しまれるようになり、特に「馬の観音様」として周辺地域から広く信仰を集めています。
また、仁王門に安置されている木造金剛力士立像が県宝に指定されるなど多くの文化財が残る寺院でもあります。さらに、伊那市の天然記念物に指定される仲仙寺周辺の植物群落は、秋には美しい紅葉に染まることでも知られています。
仲仙寺
仁王門
気持ちよく晴れた朝、仲仙寺を訪問です。
参道沿いにある桜本地蔵尊(中央)・青空地蔵尊(右)、数万羽の折鶴が飾られています。
その先にあるのが仁王門で、安置されている木造金剛力士立像は県宝に指定されています。
木像金剛力士立像は室町時代の文亀元年(1501年)につくられた貴重な彫刻で、左側が阿形像、右側が吽形像、像の高さは両方ともに2.6mあります。
県宝に指定される木像金剛力士立像
十王堂
参道沿いの右側には中門、その先には本坊があります。
参道左側にあるのは十王堂(閻魔堂)です。堂内には閻魔大王やその他十王像が並び、後側には六地蔵尊が祀られています。
山門
龍が構える手水舎、水は出ていませんが・・・
石段を上った先の山門、享保9年(1724年)に建てられましたが、平成の大改修で銅板本瓦葺き屋根になったようです。
本堂
山門をくぐって境内へ、右側には立派な鐘楼があります。こちらは平成の大改修で新しく建て替えられたようです。
境内左側には、はびろ道十二丁目の丁石があります。
はびろ道とは、伊那街道坂下の辻から仲仙寺までの五十四丁の信仰の道です。馬が農耕と交通の主役であった時代、馬の安全祈願のため人と馬が仲仙寺へ参拝する際に使用した道のようです。一丁(約109m)ごとに道標となる丁石(観世音菩薩)が奉納されています。
馬の観音様として知られる本堂(観音堂)です。
秘仏本尊である十一面観世音菩薩立像は60年に1度の御開帳があります。また、木造持国天・多聞天立像、鰐口が伊那市の有形文化財に指定されています。
馬の観音様として知られる仲仙寺本堂
本堂右側には稲荷殿があり、その先には四国八十八ヶ所霊場の石仏が並びます。途中には寺を開山した慈覚大師塔もあります。
展望台
本堂の左奥に続く遊歩道へ、途中で「平坦コース26分」と「急坂コース16分」の看板があり、迷わず最短距離の急坂コースを選びます。なかなかの急坂です・・・
筆者は歩くのが早い方ですので約10分で展望台に到着です。
展望台からの眺望、間ノ岳(3,190m)、仙丈ヶ岳(3,033m)など南アルプスの山々が見事ですね。東屋やベンチもありますので、美しい眺めをゆっくり楽しめます。
仲仙寺へ戻る際は、落葉が滑りやすいため急坂コースは避けて平坦コースを選びました。ただ平坦コースとはいえ、そこそこの坂道で。。とてもいい運動になった日でした。
展望台から眺める南アルプス
境内が鮮やかに染まる秋の紅葉もおすすめ↓
駐車場
仲仙寺の近くに駐車スペースがあります。途中で二手に分かれる道があり”バス”の看板ではない方向に進むと、左手に6~7台程度の駐車スペースがあります。休日の朝9時頃、駐車場には1台が停まっていただけで特に混雑することはなさそうです。
公式HPには駐車場100台と記載されており、バス用駐車場も利用できるかもしれません。
補足情報・アクセス
住所 長野県伊那市西箕輪
アクセス 車 伊那I.C.より10分
駐車場 あり
料金 なし