重要美術品と重要文化財の違い
素朴な疑問
神社、寺院、城などの歴史的建造物・美術品には、重要美術品や重要文化財、また国宝に指定されているものがありますよね。国宝は”国の宝”と理解すれば分かりやすいのですが、重要美術品と重要文化財にはどのような違いがあるのでしょうか?
重要美術品とは
重要美術品とは、昭和8年(1933年)に施行された「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」により認定された美術品のことです。この法律は、日本の貴重な美術品の海外への流出を防止する目的で制定され、国宝級のものでまだ国宝になっていないもの=準国宝を認定の基準として選定したようです。
重要美術品・経蔵寺山門
重要文化財とは
重要文化財とは、昭和25年(1950年)に施行された「文化財保護法」により指定された有形文化財の中でも、重要な文化財のことです。
この施行に伴い「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」は廃止、重要美術品の認定取消や重要文化財の指定(格上げ指定)が推進されてきましたが、現在でも重要美術品の認定が残る文化財もあります。また、従来の国宝(旧国宝)も全て重要文化財とされ、改めてその中で優れた文化財が国宝に指定されています。
長野県内にある重要文化財は180件です。
※2021年3月現在
※詳細はこちら(長野県文化財情報)
重要文化財・諏訪大社上社本宮(幣拝殿)
国宝とは
国宝とは、「文化財保護法」により指定された有形文化財(重要文化財)のうち、”世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝”であるものが厳選されています。要するに、重要文化財の中でも特に価値が高いもののことをいいます。
ちなみに「文化財保護法」の施工に伴い、昭和4年(1929年)に施行された「国宝保存法」は廃止されています。旧国宝(現在の重要文化財に相当)と呼ばれるもののことです。
長野県内にある国宝は10件です。
※2021年3月現在
※詳細はこちら(長野県文化財情報)
国宝・松本城天守
都道府県・市町村指定
上記で紹介したものは国指定ですが、都道府県や市町村指定の有形文化財もあります。国の指定ではないものの、貴重な文化財であることには間違いありませんよね。
県宝・光前寺三重塔
文化財指定件数
「文化財保護法」では、文化財を有形文化財、無形文化財、民族文化財、記念物、文化的景観、伝統的建造物群に区分して定めています。さらに、これらの文化財の中で重要なものを国が指定・選定して重点的に保護しています。
ちなみに、令和3年(2021年)12月時点で、重要文化財:13,342件、国宝:1,130件です。参考となりますが、過去からの指定件数推移は以下のようになっています。
まとめ
重要美術品は重要文化財に指定されるほどではないものの貴重な文化財、重要文化財はその名のとおり重要な文化財、国宝は重要文化財の中でも特に価値があるものです。
イメージ的にはこんな感じになるかと↓
文化財を大切にして、その多くを後世に残していきたいですね。